2011年10月アーカイブ

10月9日(日)黒崎神社例祭 奉納ライヴ

 4年に一度、陸前高田広田地区の各集落の祭りが一つになって開催される「黒崎神社例大祭」、それが今年でした。
しかし、震災のため神輿を始め道具、人員を失ってしまい、
祭りは取りやめるべきという意見と、だからこそやるべきだ、という意見に分かれ、開催は2転3転しました。

決して単純な話では括れない被災地の祭事運営、計り知れない苦労と、勇気の決断がこの日を迎えたのです。
そんな議論のさなか、8月15日広田小学校前で演奏した天国民を観た総代さんが「是非力を貸して欲しい」と相談を持ちかけてくれたのが今回のいきさつです。
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10月9日(日)この日、私たちは神社奉納ライヴというかつて無いミッション(使命)を受けて総勢40名のスタッフで広田にのり込みました。
辺りはまだ暗い午前4時に到着、日の出とともにステージ設営作業開始。
今回も栃木の東日本舞台株式会社様から無償で機材の貸し出し、そしてPAスタッフ二本柳さんのボランティア参加がありました。この場を借りてお礼申し上げます。
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前夜の幻想的な濃霧が明けたこの日の空は快晴、朝8:45分定刻通り黒崎神社例祭は始まりました。
ステージ上には宮司(ぐうじ)さん、総代(そうだい)、そこに天国民メンバーが揃います。
今回の天国民招聘を提案してくれた菅野総代が天国民リーダー、マレに駆け寄ります。
「涙が出ます」と手を握りしめ挨拶、今回の例祭開催は言葉では尽くせない大きな想いがあるのです。
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開会の挨拶に続いて、震災の犠牲になった命を想い1分間の黙祷。
準備で慌ただしいステージ周辺、そして会場全体の時間が、一瞬にして止まりました。
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「被災をされて絶望と試練の中におられる皆様...」という切り出しで始まる総代長の挨拶。
その中にあって(今回のように)全国からの支援に勇気と力をもらい前進していきましょう、という言葉で締められました。
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そして、ここで天国民による鎮魂の演奏。
時間が止まった黒崎神社の空の下、歌われた曲は「生まれる前にいた場所へ」

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あなたが押し流すと、人は眠りに落ち
朝には移ろう 草のよう
夜明けには、花を咲かせても、また移ろい
夕べにはしおれて枯れる

あまりにはかなくて、信じるのが怖いとき
隠れる場所はどこだろう
隠れる場所はどこだろう

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あなたに帰ろう いま取り戻そう
変わらない、心のふるさとへ
あなたを呼ぼう 今、近づこう
生まれる前に いた場所へ


変わらないものの中にだけ人は
安らぎを見つけられるものだから

月夜に舞う桜が
遠い記憶を運ぶ
忘れないで 思い出して
忘れないで 思い出して

あなたに帰ろう いま取り戻そう
変わらない、心のふるさとへ
あなたを呼ぼう 今、近づこう
生まれる前に いた場所へ

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本来、天国民の演奏はこの後のプログラム45分のみの予定でしたが、
神主さんから「黙祷の後に、天国民さんに鎮魂の歌を1曲歌って欲しい」という要請があったそうです。
あまりにもこの場に相応しい歌詞に、ステージ上の神社関係者からも感動の声が。
そして、曲を作ったマレ本人も「この日のために作られた曲だと自分で錯覚してしまうほどだった」と証言。
時空を超えた不思議な巡り合わせが、天国民と広田の絆をますます強く結びつけました。




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厳(おごそ)かに執り行われた開会式に続いては、祭りの目玉、根岬 梯子虎舞(ねさき はしごとらまい)。
上空25メートルのはしごの上で、命綱無しで演じられる虎の舞。
太鼓の街らしく、男女に別れて打ち叩かれる聡明な太鼓が響く中、目を見張るパフォーマンス。
バンドメンバーも空を見上げ驚きの表情です。
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虎舞と共に黒崎神社から神輿(みこし)が出発、地域の11カ所を巡ります。
その神輿が神社に戻って来るまでの約4~5時間が、神社前の舞台で「奉納演奏」を捧げる時間です。
とは言え、本来行われるはずの地元各地区の演目が、震災のため準備が出来ず、
代わりに私たち天国民を含む、ゆかりのある個人・団体の歌舞音曲がプログラムされたのでした。
地元の演歌歌手、双子の民謡姉妹、近隣からよさこいなどが駆けつけ、華やかなステージが続きました。


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神社駐車場に並んだブースには、地元でもすっかりお馴染みのモバイル・キックバックカフェ。
全てはこの車から始まりました。



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陽射しも強くなって来た午前11:30、いよいよ天国民の出番です。
ステージ脇に集まったメンバーは太鼓パートの最終確認、そして牧師でもあるマレが力強く祈ります。
前回8月15日同様、このライヴは神から授かった音楽家の才能、能力、そして魂を、全て奉納するステージなのです。


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アメリカツアーを直前に控えた天国民は、アメリカ仕様の演奏も何曲か交えました。

そして、渋谷O-EASTのライヴではお馴染みの殺陣チーム・柴崎アクションプロジェクトが広田初登場。
もちろん友情出演の彼らが披露する「プロのチャンバラ」に、会場は大喜び。
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時間が経つごとに会場の人垣が増え、1000人を越える観衆が、広田で2度目の天国民のステージに見入ります。
「例年だと、お客さんは自分に関係ある演目が終わると帰ってしまうのですが、今回は最初から最後まで誰も帰らず、ずっとステージを観ていました、これは今まで無かった事ですよ」(菅野総代)
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日本人のルーツや謎の渡来人秦氏の研究をしているマレは、西洋化されたキリスト教が日本に伝わる遙か前から、秦氏によってもたらされた原始東方キリスト教が、神道という伝統の中に溶け込んでいるとの接点を紹介。
日本人は古から神を敬い讃える民族で、今こそ日本人の心を取り戻そうとメッセージ。
この心意気で、これから海を渡りアメリカに乗り込むのです。

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「どうしても皆さんにお伝えしたい事があります」
マレが8月15日の時と同様に、震災の悲劇の中で神を呪うことをせず、お互いを思いやる被災地の様子が、世界中の人々の驚きと希望の光となっていた、広田の皆さんの姿こそが世界に勇気を与えたのです、と報告。
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続いて歌われた「大切な人よ」は、広田の人達にもすっかりお馴染みの曲となりました。
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今回広田に初登場の尺八奏者、神永DK大輔。
広田の大自然にとけ込む彼の演奏は、会場でも人気の的でした。
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今年の春、初めて陸前高田を歩いた時「いつかここで天国民ライヴをやりたい」とは思ったものの、
まさかこんなに早く、しかもこれだけの大勢の人に囲まれたステージが実現するとは思ってもいませんでした。
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ステージを眺める天国民現場ディレクターの安烈(左端)と、そもそも広田で出会った最初の友人、当ブログでもお馴染み漁師の笠井(右端)さん。
その後ろに広がるのが、笠井さんの「職場」広田の海です。
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まさしく夢のような、異次元のステージはあっという間に過ぎていきました。
最後は8月同様の全員太鼓で締めくくり。
灼熱の中でクラクラだった前回のステージとは打って変わって、今回は涼しげな風が吹く季節。
今度、天国民が陸前高田で演奏するのは、どの季節になるのでしょう。
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たった半年の、数える程の訪問の中で、数えきれない沢山の思い出と「友人」ができました。
会いたい人、話したい事は尽きません。
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こちらは浜松から駆けつけた、トータルケアセンターの皆さん。
我がモバイルキックバックカーが浜松ナンバーなのは、実はこちらからお借りしていた実情があったからなのです。
今回も美味しいカレーを準備して下さいました。
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大盛況だったステージのプログラムが終わる頃。地域の漁港など11カ所を巡行し神輿も戻ってきました。ご神体は息気長帯姫命(おきながたらしひめのみこと)と言うそうです。
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夢だった神社ライヴが実現して興奮冷めやらぬ天国民メンバー。境内に向かう石段の前で記念撮影。
アルバムのジャケットにしたい1枚です。
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記念撮影をしているところに、乾杯の呼び出し。神社の境内の中に招かれました。
神妙な面持ちのメンバーの前で、総代、宮司、神主と勢揃いした打ち上げの宴。
ところが、とても気さくで、なんともユーモア抜群の方々ばかりで、笑いが絶えない席となりました。
ここでのトークの内容はそのまま本にしたら売れるかも?!
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打ち上げの挨拶も一通り終え、荷物も車に積み、いよいよ出発しようというところに、なんと、虎舞の中にいた人!
伝統芸能根岬虎舞のメンバーの方が挨拶に駆けつけてくれました。

「今回は、(祭りを)やっていいものか、悪いものかわからなかった。
だけど、やってみなければ、良いも悪いもわからない。
どんな結果でも前に進む為には、やるしかなかったんです。やって本当に良かった!」





普段は漁師の皆さん、300年に渡る伝統を文字通り命がけで守ってきた彼らにとっても、
今日はという日は大きな日だったのです。
そして最後に、虎舞でハシゴの先端にいた彼の「来年、還暦です」の言葉には、一同本当にびっくり!
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                          「明日から、みんなまた現実に戻ります。職が無い人、家がない人、苦しい状況は変わりません。でも、今日のようなことがあれば、また頑張っていけるんです」

この総代の言葉が、幾多の自然災害と生活苦の中から常に立ち上がって来た、大和民族の姿を見ることが出来ました。








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                           10月末アメリカに向かう天国民のツアーは、
正式に陸前高田市後援になりました。



























天国民が広田地区黒崎神社で奉納ライヴ

8月15日のライヴをご覧下さった、広田の総代及び宮司さんの依頼を受けて、
地域復興を旗印とした黒崎神社の奉納演奏に、天国民が参加する事になりました。
祭り事の神事として、ゴスペルを捧げる天国民の演奏にご期待下さい。

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