
龍 進一郎(バスバリトン)
少年時代より教会の聖歌隊として歌と音楽に慣れ親しむ。国立音楽大学卒業声楽科卒業。オペラの舞台を中心に歌曲やポップスによるコンサート、ゴスペル、ベートーベン『第九』など様々な分野で活動している。第38回日伊声楽コンコルソ入選。読売新聞社賞、日伊音楽協会賞受賞。二期会会員。
妻であり同じくオペラ歌手(ソプラノ)として活躍中の小黒三佳代とのユニット“OPERA TANTO”は、KICK BACK
CAFEをメインステージに、カフェで気軽に楽しめるオペラを提供し、好評を博している。 |
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「カフェライブをやらない?とオーナーから持ちかけられたとき、二つ返事でOKしていましたよ。だってオペラってもともと一部の上流社会の為のものじゃなくて、広く大衆にとっての娯楽として花開いた文化だったんですから」。
そう語るのは、キックバックカフェで定期的にオペラライブを開催し、大好評を博しているオペラタントの龍進一郎さん。
人それぞれ、異なる人生があるように、それぞれに異なるキックバックスタイルがあります。龍さんの場合、キックバックは、自分が出演するハコというだけでなく、生活の一部に完全にとけ込んでいるのです。
ある朝のことでした。出演契約をしている劇場から緊急の電話が入ったのは。
「今日はソリストが病欠なので、緊急ですが、ソロをつとめてください」
こんなことはめったにないこと。彼の今までのオペラ歌手人生の中でも初めてのことでした。
「ゲゲゲ、ついに来たかって感じでしたよ。大舞台だし、日頃稽古しているわけじゃないし、かなりびびりましたね」
そう語る龍さん。彼は高ぶった思いを必死で抑えながらも、心臓が高鳴るのをどうにもしようがなかったと言います。京王線に乗り新宿までおよそ30分。
「まるで戦争にでも行く気分でしたよ。でもなぜか『そうだ。キックバックにいこう』って思い立ったんですよ。あそこのエスプレッソを飲めばちょっと気持ちも落ち着くかなって思って」
そして彼は、こんな特別な日に、なんとわざわざ途中下車して、キックバックに来てくれたのです。
ところがその日のランチタイムは外まで行列ができるほど超満員。やっとのことでいつものカウンター席に座ったものの、厨房の戦場のような忙しさを見て、結局オーダーもせずに店を後にしてしまいました。
普通ならがっかりしてもよさそうな場面。ところが彼は、逆に気合と力に満たされて外に出たのだと言うのです。
「ああ、こいつら、自分の戦場で戦ってんじゃん。かっこいいなーって思ってね。自分も同じように、自分のステージでやるべきことを全力でやればいいんだって思えたんですよ」
さてさて、その結果はどうなったのでしょう?
彼の堂々とした態度と歌声は、劇場監督の心をしっかりとらえたのです。
終了後、監督に呼び止められた彼は、こんな言葉をもらいました。
「今日は代役だったけど、是非とも次のシーズン、君と正式にソリストとして契約したいんだ」
ワーオ!!彼の喜びは想像に難くありません。
「いや〜嬉しかったですね。でも、これもキックバックのおかげなんですよ。あのとき、がんばってるスタッフの姿を見たからこそ、自分もがんばれたんですからね」
龍さんにとって、キックバックは飛躍のためのビタミン供給所となっているんですね。
注文しなくても、いるだけで元気が出てくる場所、そんな空間を提供したい、それが私たちキックバック・クルーの心からの願いです。
龍さん、私たちもあなたの成功で元気をもらいました。 |